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リンパ浮腫とマッサージ

リンパ浮腫とマッサージ効果について

リンパ浮腫はどうしてできる?

リンパ浮腫とは、身体の中にあるリンパ管やリンパ節が圧迫や狭窄、閉塞などによって阻害されて発生する浮腫です。原因としては、先天性のものを含めた原因不明の原発性(一次性)と、発症原因が明らかな続発性(二次性)に分けられます。原発性のものは症例が少なく、続発性の場合が全リンパ浮腫の患者さんの約80~90%を占めています。続発性の中で特に多いのががんで、そのなかでも乳がんや子宮がん、卵巣がんなど女性にみられるがんの手術後などに発症することが多くなっています。そのため、リンパ浮腫の患者さんは女性が約90%を占める結果になっているのです。

リンパ浮腫ができる理由は大きくいえば「浸透圧」によるものです。人間は動脈からきれいな血液が末梢に送られます。その末梢細胞では毛細血管によって細胞に運ばれた後、水分は静脈に戻っていきます。しかし、血液中のタンパク質は静脈に戻ることができずに、リンパ管に取り込まれます。つまり、動脈から運ばれた血液は静脈とリンパ管という2系統によって処理されているということになります。このうち、リンパ管が閉塞してしまったり、障害を起こしてしまうと、タンパク質が停滞して水分を引き寄せることになります。これを膠質浸透圧(こうしつしんとうあつ)と呼び、リンパ浮腫が発生する原因となります。

リンパ浮腫の症状

では、なぜ機能障害がおこるかというと、原発性の場合は前述したように原因がよくわかっていません。続発性の場合には、がんの手術でリンパ節を切除することが原因となります。乳がんの手術の場合、多くは腋窩リンパ節という脇の下のリンパ節を切除します。この場合にはその末梢である腕のリンパ液の流れが滞るようになってしまい、浮腫が発生します。一方で、子宮がん・卵巣がんの手術で股や骨盤のリンパ節が切除されると、その末梢部分にあたる足のほうに浮腫が発生することになります。

リンパ浮腫の診断方法

リンパ浮腫の診断所見は、上半身や下半身の腫脹(はれていること)となります。特徴として通常では、疼痛(痛み)、色の変化、潰瘍および静脈のうっ滞(静脈の血流が滞ること)はみられません。国際リンパ学会では、以下のようにリンパ浮腫を分類しています。

ステージ I 挙上により軽減する、圧迫でくぼむ浮腫
ステージ II 挙上しても軽減しない、圧迫でくぼむ浮腫
ステージ II 後期 挙上しても軽減しない、脂肪蓄積や繊維化の進行により、圧迫でくぼみにくい浮腫
ステージ III ステージ II 後期に象皮症(様)変化をともなう

このようにリンパ浮腫のステージは、線維化や圧迫痕、象皮症によって分類されています。線維化というのは皮膚が固く繊維のようになっていくことです。また、線維化が進むと象皮症(ぞうひしょう)といって、さらに固くなってしまいます。

リンパ浮腫とマッサージ効果について

リンパ浮腫は、適切な治療をおこなわないと悪化してしまいます。その結果、仕事や家事などに影響が出て、患者さんの生活の質が損なわれることもあります。適切な治療をすれば一定の改善が認められる可能性がありますので、積極的に受けてみるのをおすすめします。「リンパドレナージ」もその方法のひとつです。リンパ浮腫における「マッサージ」とは、優しく皮膚をさするように行うもので一般的な肩こりなどをほぐすマッサージとは、本質的には異なるものなので「リンパドレナージ」として区別しています。ドレナージとは「排液」という意味で、むくみの液(リンパの液)を皮下から排液すると言う意味です。

用手的リンパドレナージ

リンパ浮腫に対するマッサージ効果

続発性のリンパ浮腫では、リンパ節が手術によって切除されたことによることが原因であり、その部分のリンパ液の流れが悪くなっています。ですから、その部分をリンパドレナージすることによって、流れは改善していきます。その場合、出来るだけ径部または腋周辺部分のむくみを減らすようにします。この際、径部または腋周辺のむくみをそのまま心臓方向へ流すことでは不十分なので、鼡径部の液は同側の腋窩に、腋の液は同側の鼡径部(もしくは対側の腋)に誘導してあげるのがいわゆる用手的リンパドレナージです。

リンパ浮腫にマッサージを施す際の注意点

用手的リンパドレナージで注意したいことは、脚なら下腹部、臀部、腕なら胸壁、肩、腋周辺にもむくみが広がっていることがあり、その部分のむくみの排除も必要となることです。手術をした部分では、特に固くなりやすいので、やわらかくもみほぐすように、入念におこなうことが大切です。また、リンパ浮腫におけるリンパドレナージは一般的なマッサージとは違い、軽く擦るようにおこないます。皮膚表面をずらすような感覚で、ゆっくり優しくおこなってください。 特に入浴後など暖まり、血管が拡張している時がより効果的といわれています。

リンパ浮腫のそのほかの治療方法や注意点

圧迫療法

圧迫療法とは、弾性着衣を装着する治療方法です。弾性着衣とは、腕に装着するスリーブやグローブ、足に装着するストッキングなどのことです。圧迫することで、リンパ管に回収できなかったリンパ液を戻すための治療になります。この治療は保険適応で、リンパ浮腫の状態に合わせて医師が症状に適したサイズや圧迫の度合い、形状などを選択します。

運動療法

リンパ浮腫は、リンパの流れを滞らせないことで予防できます。適度な運動はリンパの流れを促進させると考えられています。過度な運動は逆効果になることもありますが、普段の生活の中でもできることがありますので、担当の医師や看護師に相談してからおこなうようにしてください。

スキンケア

リンパ液が滞ってしまうと、その部分から感染症などを引き起こす可能性もあります。皮膚を清潔に保って、保湿することが重要です。水虫などの皮膚病や虫刺されには充分に注意をして、保湿剤や保湿クリームをうまく活用して皮膚の保護につとめてください。

リンパ浮腫の方が日常生活で心がけたいこと

安全・安楽

リンパ浮腫があるからといって、過度に気にする必要はありません。安静にしていなければならないということもないのです。適度な運動でリラックスをすることも大切です。また、横になるときには、なるべく楽な姿勢で過ごすようにしてください。また、正座は浮腫を悪化させることがありますので、なるべく避けるようにしてください。

感染予防

リンパ浮腫がある部分はリンパ液が停滞しているために、免疫が低下している場合があり、傷つきやすくなっています。日常生活では感染の危険を避けるために、皮膚に傷などをつくらないようにすることが大切です。切り傷などはもちろんですが、虫刺されややけどなどにも注意が必要となります。外に出るときには、虫除けスプレーや長袖、場がズボン、手袋などを着用してください。もし、傷ができてしまったら、すぐに流水で洗って消毒をしましょう。

肌を清潔に保つ

リンパ浮腫の場合には、その部分の皮膚にも変化が出てしまいます。健康な皮膚組織を維持するためには、清潔に保つことが一番の方法です。しかし、汚れを落とそうとして、ゴシゴシと洗うのは、逆に皮膚を傷つける場合がありますので、石鹸で泡を充分に立てて優しく洗ってください。汚れを拭くときには清潔なタオルなどで軽く抑えるように拭き取りましょう。

食事

食べ過ぎなど、過剰な食事は皮下脂肪を増加させて、リンパ管を圧迫してしまうこともあります。適正な量のバランスがとれた食事を心がけてください。塩分はやや控えめがよいとされています。

十分な休息をとる

疲労はできるだけ避けましょう。仕事や家事は適度に抑えて、できれば家族にも分担してもらいましょう。特に避けたいことは、重い荷物を持ち上げたり、翌日まで疲労がたまる激しい運動です。日常生活では無理をしないようにして、適度な休息を取るようにしてください。

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